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上祐史浩・一般向け講義【2016】

第300回『プライドの効能と弊害、それを超える瞑想法』(2016年9月11日 福岡 72min)
(2016年9月11日)

1.プライド・自尊心・優越感・勝利への欲求

 人には、生来、プライド・自尊心・優越感・勝利の欲求(劣等感への嫌悪)がある。それは、少なからぬ場合に、他との切磋琢磨などを通し、人を成長させる面がある。人類の進歩もそうであり、競争による成長を図る現代社会の根本的な原理でもある。

2.過剰なプライドなどの弊害

 しかし、過剰なプライドは、1.他に優位を立てず、他に劣等感を感じる場合に、他から逃避する(引きこもる)、2.自分をよく見せるために嘘をつく、偽装する、3.他に理不尽な攻撃する(自分の問題を他に転嫁する)といった問題が生じさせる。よって、仏教では、プライド・優越感への欲求や、その裏側の妬み・自己嫌悪は、「慢」などと呼んで、煩悩の一種と位置付けた。アドラーの心理学でも、劣等コンプレックス(引きこもり)、優等コンプレックス(他の攻撃的な姿勢)などとして論じられている。

3.過剰なプライドを和らげる方法

 アドラー心理学は、他に勝って幸福になる考え方に縛られず、自分の所属するコミュニティの役に立つこと行うことを推奨する。他を愛し、他を幸福にし、他の役に立って、幸福になる(自分の価値)を感じるという道である。仏教でも、他者・万物を愛することが、真の幸福の道であって、真の成長の道であると説く面がある。そのステップとして、以下のように、人が抱く、自と他の(幸福の)区別、優劣の区別は、錯覚であるとする思想がある。

4.自他の区別を超える瞑想

 プライドなどの欲求は、その根本に自と他を区別し、自分を他よりも愛する自己愛の欲求がある。一方、仏教では、自と他が別の物であり、自と他の幸福が別のものであるという価値観自体が、人間の錯覚であり、真実ではないと説き、自我=私に対する過剰な執着を弱めるための瞑想法がある。具体的には、無我、四念処、五蘊無我と言った瞑想法である。

5.優劣の区別を超える瞑想

 普通は、頻繁に自他の優劣を比較するが、仏教的な思想では、優劣の基準に絶対的なものはなく、時代・地域・状況で大きく変化し、更に、勝つ能力と優しくなる能力のように、長所と短所は表裏である面もあり、本質的には優劣には実体がない。よって、自他の優劣の区別は、自他双方の成長の手段としての切磋琢磨などに用いられることは良いが、絶対の優劣があると錯覚し、慢心・妬み・卑屈に陥り、苦しむことは意味がない。

 仏教的な視点からは、他に優位になって幸福になるのではなく、自他・自他の幸福を区別せず、他の幸福を喜ぶ、広く大きな心によって、幸福になる。

 

 

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