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第3章 心を安定させる仏教の瞑想とヨーガの行法


1.はじめに:仏教とヨーガの思想における心の安定の重要性

心の安定は、仏教やヨーガの重要な目的である。まず、ヨーガにおいては、「ヨーガ」という言葉の本来の意味が、心の働きを静めることである。ヨーガの体操や呼吸法は、そのためのステップ・手段にすぎない。
また、仏教が説く「禅定」も、瞑想による心の安定(ないしは静止)といったほどの意味である。煩悩が静まり、心が安定することが、仏教が説く瞑想というものであり、心が安定・静止しない作業は、仏教における瞑想(禅定)ということはできない。
そして、心の安定は、悟りと深い関係がある。心が安定して、集中力が高まると、物事を正しく観る高度な認識力=智慧が生じて、それが煩悩の根源である無智を止滅するからである。これを前章で述べた通り、「禅定と智慧」、ないしは「止と観」という。
なお、普通の人が陥っている無智の意識・心の働きは、自と他(の幸福)を区別する意識であり、それを解消する智慧は、自と他(の幸福)を一体と見る意識であり、それゆえに、万物を愛する大慈悲の心(ないしは四無量心)と一体のものである。すなわち、智慧と慈悲は一体となっている。


2.心の安定による様々な利益

また、前章ですでに述べたとおり、心の安定とそれによる智慧は、無智を根源とする様々な煩悩・過剰な欲望・執着を減少させるだけでなく、現世・世俗における重要な物事の実現などの要となる。
一部繰り返しになるが、心が安定して雑念がない状態は、高い集中力を有しており、目的の達成のために正しい判断ができ、様々なとらわれで心が不安定な場合は、間違った判断をしやすい。不調な時は、苦しみを過大視し、好調な時は過信が生じやすい。そして、ストレスで健康を害し、他との摩擦が強くなって、人間関係を損なう。さらに、心の不安定がひどくなると、失敗への恐れのあまり、消極的になり(引きこもり)、自分の問題を他人に責任転嫁し(自己愛型人格障害・被害妄想)、不正な手段で目的を達成しようするなどの病理的な行動が増える。
一方、過剰なとらわれを和らげて、心を安定させれば、物事を正しく判断し、健康と良い人間関係を保つことができるので、逆に目的を達成しやすくなる。そして、心と頭と体と人間関係の良い状態は、心理学上も、幸福の資源(リソース)とされている。

 

3.心のコントロールの四つの方法

心のコントロールを考える場合の出発点として、最初から、自分の心・感情といったもの自体を自分の意志で自在にコントロールすることが難しいという事実がある。
そこで、心と深く関係する要素である思考・イメージ、行動、身体、環境をコントロールすることで、心をコントロールすることを考えることになる。この四つの視点は、仏教・ヨーガを含めた諸宗教、ならびに心理学など全般を検討した結果である。より具体的にいえば、以下の通りである。
第一に、思考やイメージである。心が安定する考え方やイメージの持ち方を学んで実行する。物の考え方・見方(認知)・イメージは、心・感情と深く連動している。
第二に、日々の行動である。行動と心はお互いに深く関係しあっており、どのように行動するかによって、心・感情が大きく違ってくる。よって、心が安定するような行動に努めることが重要である。
そして、仏教を含めた多くの宗教で、一般に利他の行為が「善行(ぜんぎょう)」といわれ、他を害するような自己中心的な行為を「悪行(あくぎょう)」というが、これは単に倫理的な思想なのではない。善行の習慣が心を安定させ、悪行の習慣が煩悩・欲望を増大させて、心を不安定にするという意味合いがあり、自分の利益になることなのである。逆にいえば、心を安定させて智慧を高めるような行為が、善行・功徳であり、戒律を守ることだと定義することもできるだろう。
第三に、身体の浄化である。身体の健康が心に大きな影響を与えることは、心身医学などで、一般にも知られようになってきたが、仏教・ヨーガなどの東洋思想においては、特に、体の中の気の流れをコントロールすることを重視する。それは、この気の流れが、直接的に人の心・感情とリンクしているからである。
そして、それを整える身体行法を行う。その内容は、①適度な運動・筋肉などのほぐしに加え、②適切な姿勢・座法、③特殊な呼吸法などを含んでいる。気の流れと、気持ち=心は深く連動し、さらに、気は病気=体の健康とも深く関係している。
第四に、環境である。心が安定する「環境」を整えることが重要である。人の心は、五感からの情報に左右される面が非常に大きい。よって、心が安定し清められるような類の見る物、聞く音などがある環境が望ましい。
また、それぞれの場には、その気(外気)があり、それが直接的に、ないしは呼吸などを通して、体の中の内気と混じり合うことになる。よって、清らかな気の場所を得ることが、心と体の安定のために重要である。さらには、外界から取り入れる飲食物の影響も考慮する必要がある。


4.ヨーガの身体行法

ヨーガの伝統的な修行では、戒律を土台として、アーサナ(体操・座法・体位法)、プラーナーヤーマ(呼吸法・調息法・調気法)などの身体行法を経て、心を安定させる瞑想に入っていく。その意味で、このアーサナ・プラーナーヤーマは、瞑想の準備であり、瞑想でもある。
第一に、アーサナは、正確な訳は、座法・体位法である。よって、ヨーガのポーズともいう。これは、単なる体操・体の筋肉等の運動・ほぐしでなく、姿勢の訓練や呼吸法も含む実践である。そして、姿勢・体位と、体の気の流れや心は、深い関係があり、姿勢・体位を整えることは、体の中の気の流れを整える上で非常に重要な要素となる。
第二に、プラーナーヤーマは、正確な訳は、「調気法」である(調息法ともいう)。これは、呼吸法であるが、単なる酸素・空気を十分に取り込むことが目的ではなく、①心と深く関係する呼吸=息の仕方をコントロールするという意味合い(すなわち調息法)と、それに加えて、②心と深く関係する体内の気をコントロールするという意味合い(調気法)があるので、そのように訳される。これは、気の流れの浄化・強化によって、エネルギーの強化、煩悩の浄化、心の安定・集中力の向上をもたらすものである。


5.5つのプラーナーヤーマ

ここでは、気を浄化・強化し、心を静め、集中力を高める以下の5つの呼吸法を紹介する。

(1)基本的な呼吸法:すべての呼吸法の基礎となるもの

(2)体内の左右の気道を浄化する呼吸法

①右気道の浄化 : スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマ
②左気道の浄化 : チャンドラ・ベーダナ・プラーナーヤーマ

(3)両気道の浄化と集中力を高める呼吸法:スクハプールヴァカ・プラーナーヤーマ

(4)気道を強力に浄化する呼吸法:カパーラ・バーティ・プラーナーヤーマ

(5)特に心を静めるヴァイブレーションの呼吸法:ブラーマリー・プラーナーヤーマ

 

6.基本的な呼吸法

(1) 環境

① 呼吸法を行う室内は、なるべく整理整頓し、換気をして、気を浄化する。
② 意識を高めるシンボルとなる仏画・良い自然の写真、仏教の法具の聖音、
瞑想用のお香などがあれば、なおのこと良い。

(2) 座法

① 安定した座法で座る。理想は蓮華座・達人座などのヨーガ・仏教の行法。
② そうした座法が組めなくても、胡坐(あぐら)や正座など安定していればよい。
③ また椅子の上に座って実践することも可能である。

(3) 姿勢

① 背筋を伸ばし、背中・首・頭が一直線になるようにする。
② 軽く胸を張るが、張り過ぎて反り返らないようにする。
③ 顔はまっすぐ前を見る(よく下向きになるので注意する)。
④ 肩・腕の力を努めて抜く。
⑤ 目に関しては、眠気がない限りは閉じてよいが、眠気があれば、
力を入れずに見開くか、半眼で行う。

(4) 呼吸の仕方

① 口からではなく、両鼻から息を出し入れする。
② 腹式呼吸で、胸だけでなく、お腹も使って行う。
③ 4秒で息を吸い、4秒息を止め(=保息)、4秒で吐く。
慣れてきたら、保息を伸ばしていくが、詳しくは指導員の指導を受けること。

(5) 精神集中

① まずは、出し入れする呼吸に集中するが、それに慣れてきたら、
眉間の所に精神集中を行う方法がある。体の上位の部分に集中すると、
その分、気が引き上がりやすくなる。
② 実行中に、特段の身体的な変化があれば、指導員の指導を受けること。



7.右の気道を浄化する呼吸法:スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマ

次は、体の右側を流れる気道を浄化する呼吸法である。人の体の中には、ヨーガでは7万2千本の気の通り道(ナーディ)があるとされるが、その中で主なものは3つであり、体の右側を通るピンガラ(スーリヤ)気道、左側を通るイダー(チャンドラ)気道、中央(背骨のところ)を通るスシュムナー気道である。このうち右の気道を浄化するものが、スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマである。
右の気道は、怒り・嫌悪の心の働きに関係している。右の気道に詰まりがあると、何かしらの怒り・嫌悪の心の働きが生じるとされる。また、体の症状としては、右の気道に詰まりがあると、右の鼻が詰まる傾向がある。そうした時に、このプラーナーヤーマを実行する。

(1) 環境・座法・姿勢・精神集中

基本的な呼吸法と同じ。

(2) 呼吸の仕方

① 片手の親指ないし人差し指で、左の鼻を閉じて、口からではなく、
右鼻だけで息を出し入れする。
② 腹式呼吸で、胸だけでなく、お腹も使って行う。
③ 4秒で息を吸い、4秒息を止め(=保息)、4秒で吐く。
④ 少し音がするくらい強めに、息を出し入れする。
⑤ 十分詰まりが取れたと感じたら、終了する。その後、できればしばらく、
スクハプールヴァカ・プラーナーヤーマを行い、左右の気の流れを均等にする。

(3) 手の使い方

手が疲れたら、別の手と交替する。顔は絶えずまっすぐ前を見る。
疲れとともに手が下がり、顔が、下や左右のどちらかを向くことが多いので、
そうならないように注意する。
手を使うが、使っていない手を含めて、努めて肩・腕の力を抜く。

 
8.左の気道を浄化する呼吸法:チャンドラ・ベーダナ・プラーナーヤーマ

次は、体の左側を流れる気道を浄化する呼吸法=チャンドラ・ベーダナ・プラーナーヤーマである。
左の気道は、無智の心の働きに関係している。左の気道に詰まりがあると、何かしらの無智・愚鈍な意識が生じる。また、体の症状としては、左の気道に詰まりがあると、左の鼻が詰まる傾向がある。そうした時に、このプラーナーヤーマを実行する。

(1) 環境・座法・姿勢・精神集中・手の使い方の注意

スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマと同じ。

(2) 呼吸の仕方

① 片手の親指ないし人差し指で、右の鼻を閉じて、口からではなく、
左の鼻だけで息を出し入れする。
② 腹式呼吸で、胸だけでなく、お腹も使って行う。
③ 4秒で息を吸い、4秒息を止め(=保息)、4秒で吐き、これを繰り返す。
④ 少し音がするくらい強めに息を出し入れする。
⑤ 十分詰まりが取れたと感じたら、終了する。その後、出来ればしばらく、
スクハプールヴァカ・プラーナーヤーマを行い、左右の気の流れを均等にする。


9.スクハプールヴァカ・プラーナーヤーマ

これは、左右の両気道を交互に浄化する呼吸法である。左右の気道とも浄化されると、気のエネルギーが中央気道に集中することになる。中央気道に気が集中し、中央気道が浄化されると、心が静止して、深い瞑想状態に入っていくといわれている。よって、このプラーナーヤーマは、集中力を高める効能が高く、特に保息時間を長くすることができていくと、その効果が強くなる。
また、スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマないしはチャンドラ・ベーダナ・プラーナーヤーマを行った後は、このスクハプールヴァカ・プラーナーヤーマを行い、左右の両気道の気の流れを均等にすることが望ましい。スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマないしはチャンドラ・ベーダナ・プラーナーヤーマは、右ないし左の気道を浄化するが、それだけだと、左右のいずれかの気道に気が偏る可能性があるからである。
(1) 環境・座法・姿勢・精神集中・手の使い方の注意

スーリヤ・ベーダナ・プラーナーヤーマと同じ。

(2) 呼吸の仕方

① 右手の人差し指と中指は、額に当てて、
② 右手の親指で、右鼻をふさぎ、左鼻から息を入れ、
③ 右手の薬指と小指で、左鼻をふさいで息を止め、
④ 右手の親指を離して、右鼻を空けて右鼻から息を出し、
⑤ 右鼻から息を入れて、
⑥ 右手の親指で、再び右鼻をふさいで息を止め、
⑦ 右手の薬指と小指を離して、左鼻を空けて左鼻から息を出し、
⑧ 最初に戻って、左鼻から息を入れる。以上のサイクルを繰り返す。
⑨ 4秒で息を吸い、4秒息を止め(=保息)、4秒で吐く。
⑩ 慣れてきたら保息の時間を延ばしていくが、詳しくは指導員の指導を受けること。

※右手が疲れたら、左手に替えてよいことは、他の呼吸法と同じ。


10.カパーラ・バーティ・プラーナーヤーマ

このプラーナーヤーマは、特に気道を強力に浄化するとともに、気を上昇させる効能がある。気が気道を上昇すると、気道の詰まりを浄化し、詰まりによって生じていた煩悩を取り除き、意識を高めることができる。

(1) 環境・座法・姿勢・精神集中の注意

基本的な呼吸法と同じ。

(2) 呼吸の仕方

① 口からではなく、両鼻から息を出し入れする。
② 腹筋を使って、短く鋭く、息を出し入れし、出息と入息を繰り返す。
保息は行わない。「鍛冶屋のふいごのように」ともいわれる。
③ 出息と入息は20回ほど繰り返して、1セットとして終了する。
④ 少し休んだら、また繰り返す。
(3) 注意

① 気を強く引き上げるので、体が熱くなったり、体の一部に多少の痺れを感じたり、
多少ぼーっとした感じになることがある。
② 不快な感じが生じたら、出息・入息の回数を減らして加減するか、中止して、
指導員の指導を受けること。


11.ブラーマリー・プラーナーヤーマ

このプラーナーヤーマは、自分で作り出す振動音のヴァイブレーションによって、心を静めて、深い意識状態・瞑想状態に入っていくものである。瞑想に入る準備の呼吸法ということもできる。これに熟達するならば、最も深い瞑想状態であるサマディに入ることができると経典に書かれている。

(1) 環境・座法・姿勢・精神集中の注意

基本的な呼吸法と同じ。

(2) 呼吸の仕方

① 口からではなく、両鼻から息を出し入れする。
② 十分に息を吸ったら、蜂の羽音のような「ブーン」といった音を立てながら、
なるべく長く息を出していく。
③ これを繰り返す。

 

 

 

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