オウム真理教の清算
オウム真理教時代の清算についてのコーナーです

脱麻原・脱オウムの諸改革

⑧外部監査委員会による監査と結果
(2015年1月19日)

  公安審査委員会が第4回観察処分更新決定(2012年1月)において「注視する」とした「ひかりの輪」の外部監査制度について、以下に述べます。

1.外部監査委員会の監査と結果

(1)外部監査委員会について

  ひかりの輪外部監査委員会は、2011年12月17日、地下鉄サリン事件等のオウム真理教による事件の再発防止の観点に立って設置されました。
   「ひかりの輪」は、その会則で外部監査委員会を置くこととしており、具体的には「ひかりの輪外部監査規約」(以下「規約」と記す)と「『ひかりの輪』および『ひかりの輪外部監査委員会』の申合せ事項」(以下「申合せ事項」と記す)に基づいて設置された外部監査委員会が、「ひかりの輪」への外部監査を実施してきました。外部監査委員会は3名で構成されています。

(2)外部監査の概要

   外部監査は、まず2011年12月17日から2014年11月27日までの「ひかりの輪」の活動全般を対象として、同期間に実施されました(※その後、さらに3年間、2017年11月27日までの監査も実施され、現在も監査が行われています。詳細はこの記事の末尾をご覧ください)。
   オウム事件の再発防止の観点から団体が適正な団体運営を行っているかが監査されましたが、特に、団体規制法第5条規定の観察処分の適用要件に該当する事実の有無が重点的に監査されました。
   具体的な監査手続は、以下の通りでした(以下は、2014年の「外部監査結果報告書」より)。

   ①会合監査

   外部監査委員会と「ひかりの輪」役員等が出席する会合(監査会合)が、「ひかりの輪」東京本部教室において、2011年12月17日から2014年11月14日までの間、計13回開かれました。同会合では、「ひかりの輪」からの提出資料等に基づいて、外部監査委員が「ひかりの輪」役員等から活動内容等について聴取し、質疑応答形式での監査が実施されました。

   ②施設監査

   外部監査委員会または規約に基づく外部監査協力者が、「ひかりの輪」の全国各施設の使用状況・内部状況について、各施設への立入を行うことによって監査を実施しました。立入の回数は、外部監査委員によるものが計43回、外部監査協力者(以下「協力者」と記す)によるものが計76回以上でした。

   ③資料監査

   「ひかりの輪」が提出した活動内容、思想内容等に関する資料(計529点)が監査されました。それらの資料のうち思想に関するものの内容については、専門的見地からの見解を求めるため、外部監査委員会が宗教学者からの意見を聴取して、監査の参考としました。

   ④アンケート監査

   A 「ひかりの輪」の行事に参加した協力者が記入したアンケート計99通が
       徴集し、監査されました。
   B 「ひかりの輪」の行事に参加した団体会員ならびに一般人が記入したア
       ンケート計2077通(内訳:団体会員1172通、一般人817通、その他
       88通)が徴集、監査されました。

   ⑤行事監査

   「ひかりの輪」の行事の直接視察による監査が実施されました。

   ⑥精神的指導

   申合せ事項に基づく以下の精神的指導と、その効果が監査されました。

      A 自己反省法「内観」の指導

   A委員による自己反省法「内観」の指導が、2012年4月22日から2014年10月5日までの間、「ひかりの輪」の全国各施設のべ25カ所において、「ひかりの輪」役員全員を含む「ひかりの輪」会員等のべ158名に対して実施されました。指導を受けた「ひかりの輪」会員等全員が、内観実践の直後に感想文を提出し、外部監査委員会において監査されました(そのうち内観実践者本人の承諾を得たものについては、同委員会のHPに掲示されています)。
   また、A委員による内観の講義が、2012年5月27日、「ひかりの輪」東京本部教室において、「ひかりの輪」会員等に対して行われました。

      B 修験道の指導

   B委員による山形県・出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)における修験道指導が、2012年7月から2014年7月までの間、計3回にわたって、「ひかりの輪」役員を含む「ひかりの輪」会員等のべ85名に対して実施されました。
   指導を受けた「ひかりの輪」会員等は、後日、感想文を提出し、外部監査委員会において監査されました。
また、B委員による修験道の講義が、2012年2月19日、「ひかりの輪」東京本部教室において、「ひかりの輪」会員等に対して実施されました。

(3)監査事項に関連する第三者への調査等

   前記の「ひかりの輪」に対する直接の外部監査以外にも、監査事項に関連する第三者への調査等が以下の通り実施され、監査の参考とされました。

   ①宗教学者からの意見聴取

   「ひかりの輪」の思想内容については、外部監査委員会は、団体規制法・観察処分適用要件の観点から、以下の2名の宗教学者に専門的見地からの意見を求め、意見書の提出を受けることによって、その意見を聴取しました。

   A C氏(大学教授、文学博士)
   B大田俊寛 氏(さいたま大学非常勤講師、文学博士)

   ②オウム真理教犯罪被害者支援機構の弁護士への調査

   前記の通り、「ひかりの輪」は、アレフによるオウム真理教犯罪被害者支援機構に対する著作権侵害をやめさせるために同機構への情報提供等の協力をしてきましたが、その事実について、外部監査委員会は、同機構の関係者に対して、聞き取り調査を行いました。

   ③東京の地域住民への調査

   外部監査委員会は、「ひかりの輪」から報告があった「ひかりの輪」東京本部の周辺住民組織の反対運動について、同本部前で監視活動を行っていた周辺住民に、複数回にわたって直接接触し、実情を確認、調査しました。

(4)外部監査委員会による監査結果

   外部監査委員会は、上記の監査を尽くした後、2014年11月27日に、以下の趣旨の監査結果を公表しました。

①3年間の監査の結果、「ひかりの輪」には、観察処分の適用要件に該当する事実は、何ら認められなかった。

②警視庁による旅行業法違反容疑の捜査は、事案の性質、軽重、「ひかりの輪」の改善措置ならびに関係官庁・弁護士等の専門家の見解を総合した結果、上記①の結論に影響を与えるものではないと判断する。

③「ひかりの輪」の会員が、公安調査官から金品提供を受けていた件は、「ひかりの輪」からの報告を受け、外部監査委員会による助言等に基づき、団体の会員に対する指導や、公安調査庁に対する停止の要請など、適切な改善策が取られたことを確認した。

2.外部監査委員会の監査結果が信頼できるものであること

   外部監査委員会による上記の監査結果は、以下に述べるとおり、信頼できるものです。

(1)優れた資質の委員によるものであること

  ①河野義行委員長

     A.人物

   河野義行委員長は、松本サリン事件被害者(自身が負傷者であり、かつ夫人を亡くされた)、元長野県公安委員、特定非営利活動法人リカバリー・サポート・センター顧問、「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」共同代表、著述家です。
   松本サリン事件で被害を受けただけでなく、当初は同事件の犯人として警察やマスコミから迫害された冤罪被害の体験を有しており、また警察を監督する公安委員の実績に基づき、強いリーガルマインドと公正な人格が社会で高く評価されています。著書、講演多数。
   「ひかりの輪」と公安当局の双方に、厳格で公平な視点を有する優れた資質を備えています。

     B.「ひかりの輪」についての見解

○ひかりの輪の脱麻原は確か
   アレフはまだ麻原(彰晃)さんの影響があると思います。ひかりの輪は麻原さん1人に帰依したのが間違いだということで、他宗教、例えば出羽三山で修行したり、麻原絶対帰依からは遠ざかっているのは確か。

○公安調査庁は心の中のことを罰している(内心を罰している)
   そんな力(危険なことをする力)はないと思う。公安調査庁がひかりの輪やアレフへの団体規制法で、言うなれば心の中のことを罰している(報道の取材に対して)。

   ②A委員

      A.人物

   A委員は、大学法学部教授で、専門は刑事政策。犯罪者更生・被害者学も専門としており、犯罪者更生や親子問題の解決に極めて有益な自己内省法「内観」の指導者として、国際的な権威があります。内観を世界に普及し、各国の公的・私的な矯正機関で採用されています。
   教育界など様々な分野で講演。著書も多数あります。
   オウム事件の原因となった親子問題やマインドコントロールの解決に有効で、かつオウム問題全般について元信者に深い反省をもたらす内観の指導者であることから、監査委員としての優れた資質を備えているといえます。

      B.「ひかりの輪」についての見解

   「ひかりの輪」で内観を組織的に導入して成果をあげていることや、全国各地での内観指導にともない各施設の施設監査を行ったことから、「ひかりの輪」が閉鎖的な組織ではない旨の意見書を提出されました。

   ③B委員

      A.人物

   B委員は、伝統宗教の宗教家で、東北地方の修験道の先達です。日本を代表する修験道の大家でもあり、海外での祭典にも招かれ、祭祀を執り行うなど、その自然と平和への祈りは世界に羽ばたいています。山の思想、修験道に関する講演を多数行っています。
   大学で行われる修験道に関する学術的研究にも参加、シンポジウムなどの出演も多数行っています。大学の特別研究員でもあり、伝統宗教の実践のみならず、大学で講義を行う近代性も併せ持ち、「ひかりの輪」の宗教・思想面からの監査を行う委員としての優れた性質を有しています。

      B.「ひかりの輪」についての見解

   3年の監査の中で、「思想哲学の学習教室」への転換を含め、オウムの教義と重なる部分は全くなく、観察処分は不要だと判断していること、団体組織の運営においても、上祐の専決はなく、施設も開放的になった旨の意見書を提出されました。

(2)優れた宗教学者の意見に基づいていること

   前記の通り、外部監査委員会は、「ひかりの輪」の思想内容の監査にあたっては、以下の優れた宗教学者の意見を参考としています。

   ①C氏

      A.人物

   C氏は、大学教授、文学博士であり、地下鉄サリン事件発生以前から、長きに渡りオウム真理教に対する強い問題意識を持ち、オウム真理教問題関連の論考等が多数あるオウム研究の専門家です。
   その専門性については、公安調査庁も認めており、現に、同庁はアレフ問題でC氏に意見を求めたことがあるほどです。
   C氏は、7年以上前から、オウム真理教に加えて「ひかりの輪」の情報も得るようになり、外部監査委員会からの要請に対しては、「ひかりの輪」と公安調査庁の双方の主張を理解し、最近までの「ひかりの輪」の教材や動向を調査した上での意見を提出しています。

      B.「ひかりの輪」についての見解

   上祐と「ひかりの輪」の思想は、オウム事件の最大の原因である麻原・オウムが陥った落とし穴からしっかりと脱却したものであり、初期仏教の普遍的な思想・哲学がベースである。これを理解することが、上祐、「ひかりの輪」を「麻原隠し」などと誤解しないために重要であり、観察処分は不要であるとの趣旨の意見書を提出されています。

   ②大田俊寛氏

      A.人物

   大田俊寛氏は、埼玉大学非常勤講師で、文学博士です。オウム真理教研究の専門家で、『オウム真理教の精神史』(春秋社)をはじめとして、オウム関連の著作・対談・論文等が多数あります。
   外部監査委員会への意見書提出にあたっては、これまでの「ひかりの輪」と公安調査庁の双方の主張と証拠、「ひかりの輪」の主要な教本全てを含めた膨大な資料を調査・研究し、「ひかりの輪」幹部からの聞取り調査を繰り返し行っています。その調査量は、公安調査庁が引用した宗教学者の追随を許しません。

      B.「ひかりの輪」についての見解

   大田氏は、「ひかりの輪」の思想について、オウム事件の要因となったオウム教義、すなわち①オウムの善悪二元論の世界観、②麻原への絶対的帰依=グルイズム、③ポアの思想といった、事件の原因となったオウムの主要な教義をすべて排除していると評し、提出した意見書において以下のように述べています。

   このように、オウムにおける暴力性の根源には、人間を「霊的に進化する人間」と「堕落する人間」に区別する二分法的世界観、さらには、それに基づく陰謀論が存在していたわけだが、翻って現在の「ひかりの輪」では、こうした観念が何らかの仕方で残存しているだろうか。
   まず結論から言えば、そのような形跡は見当たらない。同団体の思想においては、二元論を乗り越え、「万人万物が輪のように一体」であることが強調されているが、これは具体的には、オウムにおける二分法的人間観が無差別大量殺人に繋がったという自覚と反省の上に提唱されたものと理解することができる。
   (中略)
   差し当たり重要なのは、現在の「ひかりの輪」において、理不尽な惨劇を生み出すに至ったオウム的思考法や世界観に対する明確な反省・考察が行われ、その上で、そこからの脱却が図られているということである。
   (中略)
   それでは、現在の「ひかりの輪」では、依然として麻原彰晃に対するグルイズムが維持されているだろうか。ここでも端的に結論を言えば、それはすでに、完全に破棄されている。
   (中略)
   加えて、しばらく前まで「ひかりの輪」は、「大黒天」や「三仏(釈迦・弥勒・観音)」を宗教的シンボルとして用いていたのだが、公安調査庁はこれらを、麻原彰晃に対する崇拝が形を変えて(偽装されて)維持されているものと見なした。確かに、このような解釈を引き寄せてしまう余地が少なからずあったとはいえ、「ひかりの輪」の宗教的見解の変遷をアレフ時代まで遡って時系列的に振り返ってみると、そうした主張もまた、事実を正確に捉えたものとは言い難い。
   (中略)
   なかでも「最終解脱者」である麻原が有すると考えられた「ポワ」の技法は、オウムの犯罪行為に直結するものであったと見なければならない。
   これに対して、現在の「ひかりの輪」の思想では、あらゆる教えや観念を絶対視しないことが前提とされているため、「輪廻転生」もまた、文字通りの実在としては捉えられていない。それに代えてむしろ、釈迦が示したと言われる「無記」の態度が重視されている。すなわち、世界の無限性や死後の世界の実在など、いくら議論を尽くしても回答が出ない形而上学的問題に頭を悩ますことより、「苦からの解放」に繋がる事柄を優先するという態度である(『中道の教え、卑屈と怒りの超越宗教哲学・21世紀の思想』六四頁を参照)。
   (中略)
   以上、オウムにおける無差別大量殺人に深く関連したと考えられる三点、すなわち、二分法的世界観、グルイズム、ポアという技法について、その概要と、現在の「ひかりの輪」における見解について考察してきた。全体として言えば、「ひかりの輪」においては、過去のオウムに存在していたさまざまな問題点が適切に反省・考察されているとともに、それらを乗り越えるための新たな宗教観が探究されていると結論することができるだろう。
   (中略)
   今後も変化を続けるであろう「ひかりの輪」に対し、私自身も一人の対話者として、その「学び」の一端に加わりたいと考えている。そして、団体規制法に基づく「ひかりの輪」への観察処分が、オウム事件を真摯に反省し、外部に開かれていこうとする同団体の動きを阻害するものであってはならないということを、最後に付言しておきたい。

(3)公安調査庁の宗教学者より優れた調査に基づいていること

   公安調査庁は、2014年12月1日に行った観察処分更新請求において、数名の宗教学者から意見を聴き、その意見に基づいて、「ひかりの輪」への観察処分が必要である旨主張しています。
   しかし、公安調査庁の宗教学者よりも、外部監査委員会が意見聴取した上記宗教学者(C氏、大田氏)の方が、その資質のみならず、その調査内容や調査量等において優れています。
具体的には以下の通りです。

   ①「ひかりの輪」に関する膨大な調査に基づいていること

     C氏、大田氏の両名については、以下の通りです。

A.オウム真理教と「ひかりの輪」を長年研究している。
B.「ひかりの輪」発足以来の特別教本(最新版含む)、
    「ひかりの輪」幹部の発刊した書籍、総括文書の全
    てを閲読している。
C.「ひかりの輪」の内部文書(活動規定その他)、公安
    調査庁とその宗教学者の主張を調査している。
D.上祐をはじめとする複数幹部への聞き取り調査を実
     施している。
E.「ひかりの輪」の聖地めぐりの視察(C氏、複数回)。
F.「ひかりの輪」の本部施設の視察(大田氏、複数回)。

   ②公安調査庁の宗教学者の調査は不十分であり、意見は不適切であること

     一方、公安調査庁が意見聴取した宗教学者については、以下の問題があります。

A.実地調査が全くなく、危険性を判断できる立場にない

   これは公安調査庁の宗教学者が自ら認めている重要な事実です。

  ◎公安調査庁「総括調査書」(総-43)でのD大学教授の発言

   「アレフ」及び「ひかりの輪」の関係等について
  オウム真理教について、他の宗教団体との比較・検討を
  行った場合、
   「アレフ」は、オウム真理教を名称変更したものであり、
   「ひかりの輪」はオウム真理教の分派と位置づけられる
   ものである。
   このうち、「ひかりの輪」については、「アレフ」よりも危険性は
   一段と低くなっていると思われるものの、
   私自身が上祐及び「ひかりの輪」の信徒に対する直接の
   調査を行ったわけではないため、
   その危険性がどの程度のものかは判断できない。

B.公安調査庁に都合の良い部分のみが引用されている。

   D教授は、十分な調査ができていない中でも、少なくとも、「ひかりの輪」とアレフが別の団体であって、「ひかりの輪」がアレフに比較して危険性が低いことは認められるとしており、両者が同一の団体であり、同様に危険であるとする、公安調査庁の見解を明確に否定しています。
  ところが、公安調査庁は、こうしたD教授の重要な発言を無視して、都合の良いところだけを引用して「ひかりの輪」への観察処分は必要だと主張しており、これは極めて不誠実といわねばなりませんが、言い換えれば、こうした「抜き取り」によって全体の趣旨を歪曲するのが、公安調査庁の証拠の扱いの、常とう手段になっています。
  実際に、宗教学者に関しても、自ら信頼し助言を求めたC教授が「ひかりの輪」は観察処分が不要と伝えても、それを黙殺しています。

C.必ずしもオウム・ひかりの輪の研究の専門家ではないこと

   公安調査庁の宗教学者は、C氏や大田氏と比較すれば、オウム研究の専門家とまでは言えませんし、ましてや、「ひかりの輪」研究の専門家ということはできません。
   一方、C氏、大田氏は、上祐ら「ひかりの輪」幹部の聞き取り調査を行い、大田氏は本部施設を複数回視察し、C氏は「ひかりの輪」の聖地巡りの活動を相当回数、実地に見ています。

D.直接調査がないだけでなく、資料調査も全く不十分と推察される

a.今回検分した資料が明記されておらず、学者の意見書
    としての基本が守られていません。
b.意見書の内容から、多くの重要な資料の調査の欠落が
    推定されます。
    ⅰ.公安調査庁が今回証拠提出したのは、過去3年間
         の教本の改訂前のものに過ぎず、その宗教学者も、
         8年弱前の発足から3年前までの古い教本と、最近
         の改訂版の最新教本は検分していないと推察され
         ます。実際に、古い教本と最新の教本は、意見の中
         で全く言及されていません。

    ⅱ.意見の中に、「ひかりの輪」が反省総括している基本
         的な事実に対する無智や、弥勒金剛法具エンパワ
         ーメントや密教実践等の廃止された活動に関する意
         見があるところを見ると、「ひかりの輪」幹部が発刊し
         た反省総括の書籍、多くの会員の総括文書、密教な
         どを廃止した団体改革に関する団体の内部文書(公
         安調査庁には報告済み)などは検分していないと推
         察されます。

E.自分の専門外の分野に関して不用意に根拠なく意見を述べていること

   宗教学者は、各宗教の教義等の知識は豊富であっても、

   a.人の心を洞察・善導する専門家、心理学者や犯罪更
       生の専門家ではなく、
   b.宗教の知識・情報はあっても、実際の修行実践の専
       門家でもなく、
   c.上祐ら元オウムまたは現オウム関係者の人格・活動
       をよく知る者でもない

   よって、宗教学者が、こうした自分の専門外の分野に関する意見を述べることは、本来は学者として不適切にもかかわらず、客観的・専門的な根拠がなく、無理に意見を述べており、多分に主観的・情緒的であるといわざるをえません。
   特に、「麻原隠し」かどうかを判断するといった、人の内面・内心の問題に関しては、何人も完全に正確な判断ができないにもかかわらず、それを宗教の知識の専門家にすぎない宗教学者が、専門分野以外のことまで、主観・我流で判断することは全く不適切です。こうして十分な調査もなく、内心を裁く愚を犯しています。
   一方、「ひかりの輪」は、本項と後記において、以下の通り、本件に関連する各分野の専門家の意見を証拠提出しています。

    ○ A教授(外部監査委員)や波多野二三彦氏
         (法曹界の犯罪更生・内観の専門家)。
    ○下條信輔教授(心理学者)
    ○ B氏やC氏(実際の修行実践の専門家)
    ○ 有田芳生氏や田原総一郎氏など
         (上祐・オウムをよく知る一級のジャーナリスト)

   一方、公安調査庁は、前記の通り、調査不足の、しかも宗教学者の意見ばかりに偏っています。

   ③公安調査庁が宗教学者を恣意的に利用していること

   公安調査庁による宗教学者の見解利用は、極めて恣意的なものである。現に、同庁は、宗教学の権威とされるE氏に、かつて「ひかりの輪」に関する極めて断片的な資料しか提示しないで公安調査庁側の意見を書かせたことが判明しています。
   また、公安調査庁は自ら頼っているC氏が「ひかりの輪には観察処分は不要である」という意見を調査官に述べたにもかかわらず、その見解は黙殺し、本件請求に至っています。
   一方、「ひかりの輪」のように権力も予算もない団体が著名な宗教学者の理解を得ることや、公安調査庁とその影響を受けた世間の圧力の中で宗教学者の方々が観察処分は不要であるという意見を何の報酬も得ずに正式に述べることは、「「ひかりの輪」に本当に危険はない」という事実がなければ不可能なことです。
これらの宗教学者の背景には、自己の深い調査・研究・体験などの裏打ちがあるのです。

(4)公安調査庁よりも広範な監査に基づいた結論であること

   外部監査委員会の監査結果は、以下の通り、公安調査庁の調査よりも広範な監査に基づくものです。

   第一に、外部監査委員会に対しては、「ひかりの輪」が公安調査庁に提出している定期報告書が提供されており、同委員会は、公安調査庁と同様に「ひかりの輪」施設への立入検査も可能であり、度々実行しています。
   第二に、公安調査庁になく、外部監査委員会だけが有する主な権限は、
    ①「ひかりの輪」からの詳細な報告書、関連資料を徴収すること
    ②「ひかりの輪」役員に対する聞取り調査をすること
    ③「ひかりの輪」の活動の参加者へのアンケート調査をすること
    ④外部監査協力者からの報告を受けること
    ⑤「ひかりの輪」に対する精神的な指導(内観、修験道等)をすること
です。

(5)公安調査庁と異なり、公平公正な立場・視点での結論であること

   外部監査委員会は、観察処分の更新が予算獲得等につながる公安調査庁と違い、無償奉仕で利害関係がなく、公平かつ公正な立場・視点で監査しています。
   すなわち、委員は、監査においては、交通費・宿泊費等の経費を「ひかりの輪」から受け取るのみです。
   内観や修験道の精神的指導については、委員や関係者が出張に要する交通費等を捻出するために、参加者から一定の参加料金を徴収しますが、委員にとっては、別の生徒を指導した方が報酬は多いのが実情であり、経済面での独立性は十分に確保されています。
   一方の公安調査庁は、証拠の歪曲、金品提供、検査情報漏洩等の違法不当な調査があり、最初から観察処分更新を目的とした調査をしている疑惑がぬぐえません。

3.外部監査委員会の監査と団体の改革の関係

   外部監査委員会が、この3年間、「ひかりの輪」の様々な改革に直接・間接に多大な影響を与えてきたことは、以下の通りです。

(1)「思想哲学の学習教室」への改革に関して

   「ひかりの輪」は、前記の通り、「思想哲学の学習教室」への変化を遂げてきたが、これにはA委員とB委員による精神的指導によるところが大きい。

  ①B委員による影響

   すなわち、B委員は、修験道の大家であるところ、「ひかりの輪」や大学等では、修験道について宗教ではなく「山の思想」として講義・指導してきました。これが「ひかりの輪」の哲学教室化と方向性がよく重なっており、明らかに影響を与えています。

  ②A委員による影響

   A委員による内観は、元は浄土真宗系一派の「身調べ」の修行から宗教色を抜いて現代的・科学的なものにした自己内省法であり、これが「ひかりの輪」の脱宗教と哲学教室化の一つのモデルとなっています。また、自己に関する事柄について主観を排し、あくまでも客観的事実を見つめていく内観の指導によって、客観的事実を重視する思想哲学を探求する土壌を「ひかりの輪」に形成することに寄与したともいえます。
さらにA委員は、個人的にも過去に、禅寺での修行体験を経た後に内観の研究に入った経緯があり、「ひかりの輪」の哲学教室化を高く評価し、その後押しをされました。


(2)開かれた団体への改革に関して

   以下の通り、外部監査委員会による「ひかりの輪」への様々な取組みは、「ひかりの輪」がより開かれた団体に改革されていくことを大きく後押ししました。

  ①A委員の内観指導による会員の親子関係の修復・改善

   親への感謝をはぐくむA委員の内観指導は、親子関係を断絶させるオウム真理教の出家制度の影響によって親子関係が途切れていた「ひかりの輪」専従会員の在り方を非常に大きく変えました。
   すなわち、上祐をはじめとする多くの「ひかりの輪」会員が、両親をはじめとする親族への感謝の念を深め、交流を回復し、関係を正常化させました。また、老齢の親の介護に努めだし、そのために退会した「ひかりの輪」幹部も多々います。
   これは、親子問題に起因して坂本弁護士一家殺害事件を起こした麻原・オウムの教義の実践とは、まさに真逆のものです。
   また、内観で20年ぶりに実家に帰省し両親との関係を回復する等の顕著な効果を上げた「ひかりの輪」副代表の広末は、内観関係の国際会議で講演する等、「ひかりの輪」の社会に対する開放性・社会貢献を促しました。

  ②B委員の修験道指導・正式参拝の指導による社会との交流

   B委員は、「ひかりの輪」会員を、各神社・寺院での正式参拝に導き、地元の人々、宮司などとの交流に導きました。また、それ以外の聖地巡礼でも、正式参拝を奨励・指導し、同様に現地の人々との交流の促進に貢献しました。
   また、B委員は、団体の講話会などで、上祐らと対談を行い、麻原・オウム時代の反省・総括を伝える機会を作りながら、団体の開放性・社会貢献を促しました。

  ③河野委員長らの団体施設の美化・開放性増大に向けての指導・助言

   委員の定期的な施設検査や「ひかりの輪」役員との会合の際に、河野委員長らが、一般的な意味での施設の掃除・美化を怠らないよう指導を行い、またより開放的な住居環境への誘導も行われ、結果として以前より相当に美化され、開放的な居住空間となりました。

  ④地域住民問題に関する指導

   河野委員長は当初より、「ひかりの輪」と地域住民との橋渡し役になれればと意思表明されてきました。
   現に、河野委員長は、「ひかりの輪」東京本部においては同本部前の地域住民に自ら話しかけ、その他の地方の施設についても、橋渡し役になりたいとの意思を「ひかりの輪」を通じて地域住民に伝達しました。
   また、「ひかりの輪」副代表の広末に対して、問題になりかけている地域については、現地に赴いて地域住民に誠意をもって直接事情説明したり施設公開したりするようにと指導し、「ひかりの輪」側もそのように実践した結果、トラブルの未然防止に結び付くとともに、団体の透明性をより高めることになりました。

  ⑤報道機関対応に関する指導

   外部監査委員会からは、「ひかりの輪」に対して、報道機関からの取材申し込みに対しては積極的に対応し、団体の現状等を説明し、一般市民に対する不安解消に努めるようにとの指導があり、「ひかりの輪」側でも指導の通り実行しました。それは、すでに述べてきたように、多くの報道機関の取材に対応してきた事実からも明らかです。
   また、河野委員長自身が、監査会合の際には、しばしばマスコミの記者を同行させて「ひかりの輪」東京本部に入るとともに、同本部内でテレビ局の取材にも応じられました。
   その結果、「ひかりの輪」の透明性は、さらに高まることになりました。

  ⑥定期的な「ひかりの輪」役員への監査

   前記の通り監査会合等の機会を通じて、定期的に「ひかりの輪」への監査が行われることにより、「ひかりの輪」側の情報開示への意識の高まりに加えて、客観的にも情報開示の機会が増え、より開かれた団体となりました。

(3)公安調査庁との違法不当な関係の解消の指導

   「ひかりの輪」会員の多くが長年にわたって公安調査庁から多額の金品を受領してきた件については、外部監査委員会からの求めに応じ、同委員会に詳細な説明を行ったところ、同委員会から厳格な意見表明・指導が行われ、公安調査庁との違法不当な関係を改善する等の組織変化がありました。

※追記:上記の2014年までの外部監査の実施以降は、河野委員長の退任にともない、新たに元公安調査官が委員に就任するとともに、さらに2017年11月までの監査2020年12月までの監査が実施され、現在も監査が継続されています。

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