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ネット生中継用教本テキスト(セミナー)

【9月29日 中継テキスト】第3 気の霊的科学:人類の可能性
(2019年09月29日)

第3 気の霊的科学:人類の可能性
(2016年夏期セミナー特別教本『気の霊的科学と人類の可能性』第2章)


1.気(生命エネルギー)の霊的科学とは

「気」とは、中国哲学(道教)が説く概念で、体の内外に存在して流動する目に見えないエネルギーであり、狭い意味では生命エネルギーであり、広い意味では物理的な存在を含めた万物を構成する根源という意味まで含む。そして、中国哲学の気とほとんど同じ概念を説くものとして、インドのヒンドゥー・ヨーガのプラーナや、チベット仏教のルン(風)があり、その意味で、気の哲学は、中国からインドまで広がった東洋思想である。
生命エネルギーとしての気の存在は、現代にいたるまで、物理学的には証明されていない。しかし、気の思想を前提とした中国医学の経絡・経穴(ツボ)の理論と、それに基づいた鍼灸・指圧の治療は、中国や日本の歴史の中で経験的に広く認められて活用され、大学で研究され、国家資格があり、保険医療の対象でもあり、WHO(世界保健機関)でも認められたものとなっている。
また、科学的な研究としては、経穴(ツボ)の位置の電気抵抗の特殊性や、経穴と内臓の状態の関係性などが、大学の研究で確認されていたり、NHKなどが、中国の気功師が気によって軽量の物体を動かす検証実験を報道したり、一部の心理学関係の学会で、気の存在・正体に関する仮説が論じられたりしている。
一方で、西洋科学的には、その存在が証明されておらず、測定して数量化できず、統一された概念がなく(漢方の「気」と気功の「気」の概念は大きく異なる)、科学的な研究論文は不足している。さらに、鍼灸の治療や、気を活用した仏教・ヨーガの修行の効果は、個人差があることは確かであり、十分な見識・経験がない者が指導したり、お金のトラブルが起きたり、逆に体調不良を招いたりする場合もあるといった問題に注意する必要がある。
とはいえ、こうした問題があるにもかかわらず、気を前提とした思想が広がっている理由は、例えば、医学の面でいえば、現代医学では対処できない痛み・心身の不調が多く存在し、医師を含めて、鍼灸・指圧を代替治療として用いることが少なからずあり、ヨーガや仏教といった意識の改革・悟りを目指す面でいえば、その修行上の効果が、他の修行法と比較しても、相当に強力と思われる一面があるからだと思われる。
よって、気の哲学・霊的科学は、盲信することは危険であるが、それと同時に、全面的に否定するのは、医療面ではすでに現実的・実用的でないし、個人差があるにせよ、修行上も重要な改善の機会を失う可能性があるから合理的とは思われない。この章では、こうした盲信と全面否定の両極を避け、バランスのとれた視点から、東洋の伝統的な思想が育んできた気の哲学、気の霊的科学を紹介したいと思う。

2.気の通り道:気道に関して

体内には、気が流れる道がある。これを気道という。中国医学では、経絡(けいらく)(経脈(けいみゃく)と絡(らく)脈(みゃく))と言われてよく知られている。ヨーガやチベット仏教では、ナーディ(脈管(みゃっかん))と呼ばれる。
気道の場所も気道の総数も、それぞれの思想・学派によって異なる。中国医学などでは、経脈には、12の正(せい)経(けい)と呼ばれるものと、8の奇(き)経(けい)と呼ばれるものがあるとすることが多い。ヨーガや仏教では、主に3つのナーディがあるとするが、それを含めて72000本ものナーディがあると説かれることが多い。


3.気道の交差点:経穴、気道の密集点:チャクラ

複数の気道が通る交差点があり、これを中国医学では、経(けい)穴(けつ)(ツボ)という。経穴の総数については複数の見解があるが、例えば、350以上の正穴(せいけつ)と250以上の奇(き)穴(けつ)があるという。
そして、チャクラとは、ヨーガや仏教が説く、非常に多くの気道が密集しているところである。後に詳しく述べるが、体内の各種の神経(しんけい)叢(そう)や臓器に関係し、様々な能力や煩悩と関係しているとされる。


4.気の強化と気道の浄化の恩恵:心身の健康・悟り

そして、仏教やヨーガにおいては、①気を強化することと、②気道を浄化して気道の中に十分な気がスムーズに流れるようにすることが、その人の心身の健康、煩悩・心のコントロール=悟りを実現するために非常に役立つと考えられている。言い換えれば、「気」と「心」と「体」が深く関係しているというのである。
まず、中国医学では、気の流れが悪い部分に、病気が発生すると考える。その意味で、病気という漢字は、「病んだ気」のために体の疾患=病気が生じるという思想を表している。よって、気を調整することで、病気を治したり、予防したりすることができると考えられている。
また、気と、気持ち=心は、気と体の関係よりも、いっそう深く関係・同期している。気の強さや気道の状態によって、心が大きく変化するのである。気を調整することで、煩悩・心をコントロールし、悟りの大きな助けになるというのである。これについては、後に詳しく述べたい。
そして、体操や呼吸法などの身体の操作を通して、気のコントロールを積極的に行うヨーガをハタ・ヨーガと呼ぶ。これと同じ技法は、ヨーガと同じインドを発祥とする仏教に関しても、密教の中に取り入れられた(特に後期密教とされる密教の中に)。
しかし、気のコントロールを積極的に行うヨーガ・仏教の修行法は、日本には、実質上20世紀後半になるまでは、本格的に輸入されることはなかったと私は考えている。


5.ヨーガのナーディの思想

前にも述べたように、気道(ナーディ・脈管)とチャクラの位置や数に関しては、ヨーガ・仏教の各学派・宗派で異なる。私たちは、それらを総合的に研究してきた。
その中で、図A・Bは、著名なヨーガ行者のスワミ・ヨーゲシヴァラナンダ師が解説する、3つのナーディと9つのチャクラの図である(『魂の科学』〈たま出版刊〉より引用)。

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                  図A                        図B

まず、三つの主要なナーディは、以下の通りである。

①スシュムナー管
尾てい骨から背骨(脊髄)を通って頭頂に至る。中央の気道。

②ピンガラ管
尾てい骨からスシュムナー管よりも右側を通って右の鼻に至る。
右側の気道。別名スーリヤ・ナーディ。

③イダー管
尾てい骨からスシュムナー管よりも左側を通って左の鼻に至る。
左側の気道。別名チャンドラ・ナーディ。


6.ヨーガのチャクラの思想

次に、9つのチャクラの位置と名前は、以下のとおりである。

①頭頂:サハスラーラ・チャクラ
②眉間:アージュニャー・チャクラ
③咽頭部:ヴィシュッダ・チャクラ
④胸部・心臓部:アナーハタ・チャクラ
⑤肝臓部:スーリヤ・チャクラ
⑥膵臓部:チャンドラ(マナス)・チャクラ
⑦上腹部:マニプーラ・チャクラ
⑧下腹部:スヴァーディシュターナ・チャクラ
⑨尾てい骨:ムーラダーラ・チャクラ

ヴェーダの聖典では、これらの9つのチャクラが説かれているが、現代のヨーガの導師は、その中のスーリヤ・チャクラとチャンドラ・チャクラを除いた7つのチャクラを主なチャクラとして強調することが少なくない。この7つのチャクラの性質に関しては、『ヨーガ・気功教本』を参照されたい。
なお、ヨーガ行者の体験の中には、これとは異なったピンガラ管・イダー管の位置を体験する者もいる。例えば、ピンガラ管とイダー管が、尾てい骨からそれぞれ直線的に右側か左側を上っていくのではなく、双方ともが左右に蛇行しながら、チャクラの部分でお互いに交差して上っていくものである。これについては、別に解説する。

 

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