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2016年08月

  • 2016年夏期セミナー心理学講義『選択理論 ~リアリティセラピー~』 (2016年08月30日)

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    1.選択理論とは

      選択理論は、精神科医ウイリアム・グラッサー博士によって提唱されたカウンセリング手法であるリアリティセラピー(現実療法)の基本理論です。

    (中略)

      選択理論の考えは、「他人を変えることはできない。変えることができるのは自分だけである」をモットーに、人が生きていくうえで、避けることのできない人との関係を良好なものにして、幸福に生きていく方法を説く心理学理論です。選択理論を使いカウンセリングを行っていくのが、リアリティセラピーです。

      「自分を変える」ということは、自己をコントロールするということになります。「他人を変えることができない」ということは、他人をコントロールすることはできない、ということになります。

      人はよくこのようなことを言います。
    「私が今不幸なのは、あの人が○○したからだ」
     自分には一切の責任がなく、悪いのはすべて他人のせいということです。
     しかし、選択理論では、このように言います。「自分の行動のすべては、自分で選んでいる。それは、惨めな感情や神経症などの症状であっても」。つまり、今自分が不幸なのも、人のせいではなく、自分が選んだ行動によるものであるということです。ここで「選ぶ」という言葉がでてきましたが、選択理論という名称はここからきています。自分の行動は自分で選択している、ということです。
     自分で選択可能な自分の行動や思考を適切に選択することで、人間関係その他の問題を改善する理論です。

     それでは、この後、選択理論の主要な概念について説明していきます。そのなかで、私たちが自分の行動を選択しているということが理解できていくのではないかと思います。その前に、選択理論と反対の他人をコントロールするという普段私たちがよく行っていることがマイナスであることについて説明します。


    2.外的コントロール心理学

     選択理論を理解しやすくするために、選択理論とは逆の他人を変える、他人をコントロールすることについて説明します。選択理論では、他人をコントロールして変えようとすることを「外的コントロール心理学」と言います。

     私たちは往々にして、人を自分の思うように動かしたい、支配したいと思います。そして、そのために、罰を与えたり、褒美を与えたりして相手を自分の思うようにさせます。

     例えば、子どもが勉強しないと、おやつを与えないとか、テストでいい点取ったら○○あげるなどがそうです。このような対応では、子どもは一時的に勉強するかもしれませんが、このような対応が頻繁になると、効果も薄くなり、また、親子関係がかんばしくないものにもなっていきます。

     外的コントロール心理学には、「致命的な7つの習慣(行き過ぎやすい習慣)」というものがあります。

       ※ここで「致命的な」という表現がされていますが、それはグラッサー博士の臨床経験から、この7つの習慣が頻繁に使われたことで問題を生じさせたクライアントを多く診ていることから、行き過ぎやすい習慣という意味で「致命的な」という強い・極端な表現を使っているものと理解していただいたらと思います。

    ①批判する
    ②責める
    ③文句を言う
    ④ガミガミ言う
    ⑤脅す
    ⑥罰する
    ⑦ほうびで釣る

     この習慣が習慣的に実践されることで、基本的欲求が充足されず、問題が発生します。この7つ以外でも、相手の罪悪感に訴える、無視するなどのコントロール法もあります。

     外的コントロールに害がないならばいいのですが、そうではなく外的コントロールによって他人を思うように動かそうとすることで、人間関係が損なわれることになります。なぜなら、人に支配されることを快く思う人はいません。脅しや罰によって人を思うように動かしても、そのときだけで、その人との信頼に基づいた温かい人間関係を結ぶことはできません。

     人間は人との関係に支えられて生きています。良好な人間関係が結ぶことができない人は、孤独を感じ、良好な人間関係から得られる喜びを感じることができないので、他のことでその欲求を満たそうとします。たとえそれが、一見してマイナスなことであっても手っ取り早く快感を得られるものに手を出してしまいす。お酒、麻薬、暴力、ギャンブルなどがそうです。ですから、アルコール依存症の人など、良好な人間関係が持てるように支援していくことで、お酒を飲む必要がなくなっていきます。
     日常において、お互いがお互いに、相手をコントロールしようとするわけですから、良い関係を築くことは難しくなります。
     他人をコントロールし、変えるのではなく、自分をコントロールして変えることで良い人間関係を目指す選択理論が有効であることがわかると思います。

    (中略)

     ここに書かれている対立構図ではではない関係はどのような態度、習慣から生まれてくるのでしょうか。

     選択理論が説く「身につけたい7つの習慣」(不足しがちな習慣)
    ①耳を傾ける
    ②励ます
    ③尊敬する、敬意をはらう
    ④受け入れる
    ⑤違いを交渉する。調整する。話し合う。
    ⑥信頼する
    ⑦支援する

     外的コントロールの7つの習慣ではなく、上記の7つの習慣を実践することで人間関係は良好で温かいものになっていくことはおわかりになるかと思います。