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心理学教本

第24回心理学講義『人は皆、多重の人格をもつ』
(2016年04月12日)

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 「人は皆、多重の人格をもつ」

今回は一つの心理学理論を吟味しそこから学んでいくというのではなく、人間というのは「多重の人格を持っている」という理解と人間観を持つことで、自分と他人が全く違った別々の存在であるという認識から、自他の共通性・全く別の違った存在ではないことの理解(ひいてはその実感)、万人を平等に見る、自他に対する寛容と慈悲といったものを培う一助にしていただければと思います。

そのために、「交流分析」、「影の理論」、「サイコシンセシス」などの心理学理論と「仏教の十界互具」の教えを参考にして話をしたいと思います。


1.人は誰でも、多重人格

人は様々な人格を持っています。人格というのは心の要素、性格などと考えてください。

・イライラして怒りっぽい自分。
・自分が驚いてしまうほどに優しい自分。
・引っ込み思案な自分。
・すぐに不安になってしまう自分。
・嫌なことがあると逃げてしまう自分。
・人前が苦手で赤面してしまう自分。
・人を助けたいと強く願う自分。
・批判的な自分。

などです。まだまだたくさんあるでしょう。

このことは、少しよく自分を省みれば、自分にもそういうところはあると思うことはできるでしょう。ところが、日常の生活のなかでは、あたかも自分にはそんな要素はない、と思って、他を批判したりします。

これは、自分(「私はこういう人間である」)を限定して認識しているからで、その限定の幅・範囲が狭いほど、他人と自分は違うという思いも強くなります。

これはどういうことかというと、「自分はこういう性格だ」というときの性格(要素)の数が少ないということで、他人と共有する要素が少なくなり、自分と他人の共通点を認識できない=自分と他人は違うということになるのです。

このような人は、悪いことをしている人を見て、自分にはそういうところはないと思い、他を批判、断罪するようになります。


2.人間はほぼ同じ心の要素を持っている

人間というのは皆、ほぼ同じ様々な要素を持っていると思われます。
ただ、どの要素が表面に表れているか、隠れているかの違いに過ぎないということです。どの要素がより発達しているか、未発達であるか、ということです。

このことは、ユング心理学の元型という概念から考えると導き出されます。元型とは、人間に共通する心や行動の元パターンと言ったらいいかと思います。この元型は人間全体が共有する無意識の領域にあると言われています。ですから、私たちの心の要素やそこから生じる行動などの元は皆同じものを持っているというのです。

ユングの元型を持ち出すまでもなく、心の中を落ち着いて理性的・合理的にのぞいて見れば、人間の中にある要素はだいたい同じだということに気づくのではないかと思います。

そして、この「人間というのは皆、ほぼ同じ様々な要素を持っている、それは善の要素も悪の要素も」という認識(人間観)は、万人を平等に尊重し、寛容の心、慈悲の心を培うことにつながります。

しかし、人間はなかなか悪の要素、マイナスの要素が自分にあることを認めたがりません。また、あまりにもすばらしい要素についても自分にとてもそんなものはないと思い、その要素があることを否定します。


それでは、ここで私たちの内面には様々な人格が存在するということをいくつかの心理学理論からみていきましょう。

 

 

 

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