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2014年夏期セミナー心理学講義 「自己愛について」
(2016年02月09日)

2014年夏期セミナー心理学講義 「自己愛について」

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「自己愛について」

現代人の精神構造を解明するうえで重要なものて自己愛というものがある。
自己愛という概念は、精神分析の創始者であるフロイトが本格的に研究し唱えた。その後、フロイト派の人々が研究発展させてきた。

自己愛=ナルシシズムというのは、水に映る自分の姿に恋をしたギリシャ神話のナルシスにならって命名されたもの。

ナルシスの神話でわかるように、自己愛とは自分に対するとらわれ、自分の関心が自分に向いている状態をいう。
精神分析学的にいうと、リビドー(さまざまな欲求のもととなるエネルギー)が自分に向かっている状態である。

自分に向かう関心、エネルギーが強くなると周囲(他)へ向かう関心、エネルギーは弱まる=自己中心的になる。

自己愛は誰にでもあるもので、外出前に鏡を見て髪型を整えたり、女性なら化粧するというのも自己愛である。
自己愛の強さは、自分の自己像(自己イメージ)が自分の思い通りであるかどうかにとらわれる強さであり、鏡を見て髪型、化粧に強くこだわるのは自己愛が比較的強いといえる。

適度な自己愛であれば問題は少ないが、あまりにも自分に意識関心が向かい、自己愛が強過ぎるとさまざまな問題が生じることになる。


(1)自己愛は発達過程において必要

乳幼児期に自己愛を満たすことができれば、それは適正な自尊心(自己愛)となり、歪んだ肥大した自己愛にはならない。

自己愛は発達の過程において生じる自然なものである。
通常の親子関係においては、一人では生きて生きようのない子どもに対して、親がさまざまな面において愛情をもって奉仕する中で、自然と生じてくる意識状態であり、幼い子どもにとっては、健全な一つの発達段階である。
そして、それが適切な時期に適度に満たされつつ、子どもの自立の過程において、適切な時期に適度に満たされなくなっていき、子ども側から見れば、ほどよく断念させられることによって、より、「現実的な」自尊心や自信に姿を変えていく。

しかし、このプロセスがうまくいかない場合がある。

すなわち、肥大した幼い自己愛が、大人になってまで残ってしまう場合である。現実の「等身大の自分」を自覚できず、自己を「誇大視」し続けて、自分は何でもできる(できる存在でありたい)といった「万能感」を持ち続ける。これは、社会生活を行う上では、当然のごとく、他人との調和ができず、問題を生じさせやすくなる。甚だしい場合、病的な自己愛として人格障害とされる。


(2)自己愛人格の特徴


自己愛が強い人の特徴を挙げてみると、

1.自己誇大視:自分の能力は人より優れているという思い。

2.自己特別視:自分は他と違い特別な存在だという思い。

3.理想的な自分をいつも実現しようとする。
限りない成功、権力を得ること、才能を発揮すること、より美しくなることなど理想の実現を追い求める。自己愛が肥大化しているので、それを満たすために常に地位であったり、自分を認めてくれる人であったり、物によって価値を感じようと貪欲に求める。

4.常に周囲からの賞賛、好意、特別扱いを得ようとする。さらにそれを得て当たり前と思っている。

5.現実の自分がうまくいかないとき、そのことを認めない(否認)する、また、投影によって他の責任にする。

①「否認」のメカニズム
自己愛的イメージ(誇大自己)と現実の自分との一致が自己愛を満たす、ということから考えて、誇大自己とかけ離れている自分の現実を認めることはできず、自分の問題を直視しないで、自分には非がなく問題はないと思いたいという自己愛的欲望によって、他に責任を押し付けることになる。

自己愛というのは自分への愛着であるが、現実の自分への愛着ではなく自己イメージへの愛着であり、それは自分に都合よく思い描かれた自己イメージ=誇大自己である。

よく、「本当の自分はもっとできる」「本気出してないだけだ」と言う人、思う人がいるが、この場合の本当の自分とは自己愛的自己イメージ=誇大自己のことである。なかなか現実の自分を受け入れられないので、自己イメージにしがみつこうとする。
それが、他のせいにし、自分の責任を否認することになる。

②「投影」のメカニズム
そして、他に責任をおしつける手っ取り早い方法として「投影」がある。
投影は、自分にあることを認めたくない要素、「内なる悪」を外部に追い払い自分から消去することである。
自己愛が強いほど、自分にマイナス要素があることを認めたくないので投影が起こりやすくなる。

自己愛が強い人は、自分のマイナス面だけでなく、世界の悲惨なこと(飢餓、紛争などで苦しんでいる人がいること)なども見ようとせず、自分の自己愛を満たすことだけに意識が向いている。

6.共感の欠如
自己愛が強いということは、自分にばかり関心が向かっているので他人の気持ちがわからず、人に共感できない。こういう人が他人を大切にするのは、自己愛を満たすためであり、相手のためにやっているのではない。


 

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