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心理学教本

第36回心理学講義 『心の主となる』
(2017年03月27日)

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             『心の主になる』

 1.はじめに

私たちは、心によって苦しんでいます。
どんな心が自分を苦しめ、不幸にするのか。
どんな心が自分を楽にし、幸福にするのか。

まず、このことを理解する必要があります。

そして、どんな心になるかは、自分で選択できる、という理解が必要です。
このことは、なかなか理解出来ないことかも知れません。心は自分の思うようにならない、というのが一般的に多くの人が思っていることかもしれません。

しかし、心理学理論のなかには、自分の心の状態はコントロールできる、選択できるという理論をとなえているものがあります。

そこで今回は、今まで行ってきた心理学講義から、その点を理論としているものを複数選んで、講義したいと思います。そうすることで、自分を楽にし、幸福になる心を選択することができるようになるための助けになればと思います。

まず、はじめにその名称がそのまま「選択」という言葉を使っている「選択理論」からみていきましょう。


2.選択理論の主な概念

1)行動の仕組み

(1)行動の4つの要素
選択理論では、行動を4つの要素に分けて考えます。普通の捉え方と少し違いますので、単に行動と言わずに「全行動」という言い方をします。
その4つとは、

①行為:通常、行動と言われる外側に現れた身体の行い、表情。
②思考:思い、考え。
③感情:気分や感情。
④生理反応:汗が出る、血圧が上がる、動悸がする、食欲不振、不眠、頭痛などの身体反応。

思考や感情まで行動という言葉の枠組みに入れてしまうことに承諾しにくい人もいるかもしれませんが、仕事をしているときでも、ある動作(行為)があり、やりながら、「どうやるかを」考えながらやり、その過程において、さまざまな気分・感情が生じてくるでしょう。そして、体を動かすことや、集中していることでの生理反応はあるでしょう。これが「全行動」ということです。

例えば、掃除・片付けをするというとき。掃除機をかけている、あるいは、雑巾で拭いているという「行為」があり、そのとき、「ここは汚れがひどいなあ」とか、「もっと力入れて拭かないときれいにならないなあ」などと「思考」したり、だんだんきれいになっていくことに「気持ち良い」という「感情」もあるでしょう。また、体を動かしていることで何らかの生理反応はあるでしょう。

このように、1つの行動にはこの4つはつながって生じています。

(2)コントロールできるのは、「行為」と「思考」
この「全行動」を選択理論では、自動車に例えて説明します。4つの要素を4つのタイヤに見立てます。

「行為」と「思考」が前輪で、「感情」と「生理反応」が後輪です。
車を運転する場合、前輪を操作することで、進む方向が決まります。私たちの行動についても同様で、前輪である「行為」と「思考」を操作=コントロールすることで、進む方向も決まり、「感情」や「生理反応」も決まります。
ですから、自分の行動を選択すると言った場合、どのような「行為」を行うか、どのような「思考」をするかを選択するということになります。「行為」と「思考」は選択できます。

自己コントロールというとき、この「行為」と「思考」をコントロールすることだと理解することは、とても大切なことです。気分を直したいので、良い気分を選ぼうとしても、良い気分を選ぶことはなかなかできません。気分に影響を与える「行為」や「思考」を変える=選ぶことならできます。もちろん、長年の習慣がありますから簡単に変えられるというわけではありませんが、練習によって「行為」や「思考」を変える=選びなおすということはできるようになります。気分転換というとき、散歩したり、お茶を飲んだりするということは普通にやっているかと思いますが、それをもっと積極的に重要な場面でも行うということです。

認知療法でも、「思考」=ものの見方・考え方を変えて「感情」を変えるということです。ここは選択理論と認知療法が同じ見解というか、事実に気づいたアプローチをしているということになります。後ほど、認知療法については取り上げます。

(3)落ち込みも選択
生きていくうえで、落ち込むことがあるのは普通のことです。ただ、その落ち込みを持続させているのは、その人の選択によってである、ということです。

落ち込みを持続させるには、どのような行動をとったらいいでしょうか?
家に閉じこもる。布団にくるまって「自分なんてダメだ」と繰り返し考える。

一方、落ち込みが持続しそうにない行動はどんな行動があるでしょうか?
外に出て少し早めに歩く。自分の好きな美味しい食べ物を食べる。お笑いを見るなどが考えられます。まだまだあるでしょうから、皆さんで考えてみてください。

いかがでしょう?
落ち込みを持続させる行動も、持続させない行動もどちらも選ぼうと思えば選ぶことができます。もちろん、持続させない行動を選ぶのは、多少の努力は必要でしょうが、できないことではありません。それを選び行うことで、気分は変わってきます。

では、なぜ、落ち込みを持続させるのでしょうか。落ち込みを持続させるには、それなりの理由、メリットがあるからです。そのメリットとは、

①人にお願いしなくても助けが得られる。
落ち込んでいることで、人から心配してもらえる。
つまり、落ち込むことで他人をコントロールできる。

②逃避
落ち込むことで、したくないこと、恐れていることをしない言い訳としている。
「こんな状態でそれどころではない」と言ってやることから逃避している。

③怒りの抑制
落ち込むことで活動を鈍らせ、怒りを抑制し、怒りから生じる破壊行動を止める。
人は、何かうまくいかないと、怒りか落ち込むかのどちらかが生じるといいます。
怒りは人間関係にしろ、物理的なものにしろ、破壊へと導きますから、落ち込む
ことを選択することで、怒りの弊害を防ぐことができるというわけです。

これらのメリットは、本当の意味で自分に楽を与える、幸福になることではなく、
一時逃れに過ぎないことを理解する必要があります。この点は、年末年始セミナーの心理学講義で行った「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」とも共通するものです。「この行為が本当に自分の人生を豊かにし、幸福にしていくものか?」と自問することが必要です。

(4)怒りも選択
怒りは普通、誰にでも生じるものです。自分がやってほしくないことを他人がした場合など、「ムカッ」「イラッ」とすることはあるでしょう。問題は、そのとき、どうするかです。怒りを強くし、長引かせるか、瞬間的なもので終わらせるかは選択の問題です。

怒りを強くし、長引かせるにはどういう行動をとったらいいでしょうか?
相手の行ったことを何度も思い起こし、「何であんなことしやがったんだ!」と繰り返し考える。舌打ちをし、握り拳を強く握る、など。

一方、怒りの炎を大きくしないためには、どんな行動をとったらいいでしょう?
大きく深呼吸する。顔を洗う。屈伸するなど、体を動かす。怒りに水を差すという感じです。

怒りを持続させる行動、止める行動のどちらも行うことはできることはわかっていただけると思います。あとは、自分がどちらを選ぶかにかかっています。

そして、単に怒りというマイナスの心を収めることだけでなく、プラスの心に変えていくことが次の段階です。


 

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