2010年までの日記

寂しさ・卑屈を超える大乗仏教の智恵2
(2010年08月04日)

寂しさを超える大乗仏教の智恵の第二回目として、善と悪、ないしは、優と劣の区別・二分化を超える教えのご紹介です。

現代の社会は、競争社会のため、優れている人と劣っている人を強く区別するのが普通になっています。最近は、勝ち組・負け組といった言葉も良く聞かれます。

その中で、自分はだめだ、自分には価値がない、自分は誰にも愛されていない、必要とされていない、自分は生きていていいのだろうか、と思う人が増え、卑屈・自己嫌悪・絶望感に悩み、鬱になったり、自殺する人が増えていると思います。これが、強い寂しさの原因となるのは間違いありません。

優と劣の区別・二分化を超える教えとは、そもそも、真実の眼差しで、この世界を見るならば、優れている者と、劣っている者の区別・違いなどは存在せず、あらゆる存在が、それぞれ、全体に対する役割を持っており、尊い存在である(=神仏の現われ、ないし、神仏の一部)、というものです。仏教的には、「万物・森羅万象は、平等な仏の現れ(仏性の顕現)」と言います。

一方、ご存じのように、私達の常識は、「この世界は、優れている者と劣っている者、良い者と悪い者があるに決まっている」と考えています。しかし、そういった常識に流されずに、純粋な知性で、深く考えてみると、優劣の区別は、私達が日常で考えているようには、存在しないことが分かるのです。

では、具体的には、どのような考え方によって、全てが平等に尊いと考えられるかについて説明したいと思います。

第一に、一般に劣っているとされる人は、同じように劣っている人の気持ちが分かります。しかし、優れている人は、その人達の気持ちは分かりません。場合によっては、他に勝つことばかりしていると、冷たい人間になる恐れがあります。こうして、他の苦しみを理解できる人になる、優しい人になろうとすれば、単純に優れていることが有利ではありません。

第二に、劣っている人が、諦めずに努力して、その欠点を克服すると、同じように劣っている人が、欠点を克服することを手助けする力が備わります。しかし、優れている人は、劣っている人が、どういった具体的な困難・障害を抱えているかを体験的に理解できませんから、それは難しいと思います。

この一つの例ですが、先日会ったある男性が、「自分は物覚えが悪く、人の何倍も時間がかかりますが、そのためか、会社で新人研修の担当のなることが多いのです。他人がどこで分からなくなるか、というのが、できの悪い自分は、全部分かるからです。」と語っていました。こうして、多くの他を助けることができる人間になろうとすれば、単純に優れていることが有利ではありません。、

第三に、自分の力が劣っている人は、物事を成就させる上で、優れている他の力を活かすことができる可能性があります。自分の力が優れている人は、自分で出来てしまいますから、他の力を活かすことが出来ない可能性があります。こうして、他を活かして幸福になろうとするならば、単純に優れていることが有利ではありません。

その好例が、私が好きな、昭和期最大の実業家である松下幸之助氏で、彼は、「自分は学が無かったから、他から謙虚に学べた。体が弱かったから、他に頼むこと・活かすことを覚えた。お金がないから、(お金持ちのところに)丁稚奉公に行って早く商人の才を得た」と語っています。こうして、学力・体力・財力に劣っていた人が、他の学力・体力・財力を活かして、昭和経済界の頂点に立ちました。

こうして、他に勝って、他に優位に立って幸福になろうとすると、自分が劣っていると思いこんで、苦しみますが、そうではなく、他の苦しみを理解し、他を手助けし、他を活かすことによって、幸福になろうとすると、自分の欠点が、逆に長所でもあることに気づきます。

よって、欠点と長所は裏表に過ぎず、裏に長所のない欠点はなく、裏に欠点のない長所もない、ということになります。絶対的な長所や短所はないということにあります。しかし、物の考え方が一面的だと、(絶対的な)欠点とか、(絶対的な)長所がある、という錯覚が生じて、卑屈・自己嫌悪に陥ったり、逆に慢心に陥ってしまう、という心の歪みがあるということです。

そして、言い換えれば、劣っている人・優れている人という区別は、客観的に実在するものではなく、人の心の中の、偏った考え方が作り出しているに過ぎない一種の幻影、実体のないものと考えられます。

次回は、この点を更に深く考察してみたいと思います。

 

<<< 前へ【寂しさ・卑屈を超える大乗仏教の智恵1】

次へ【寂しさ・卑屈を超える大乗仏教の智恵3】 >>>

ひかりの輪ポータルサイト
一般の方のために
ひかりの輪YouTubeチャンネル
ひかりの輪ネット教室
ひかりの輪ネットショップ
著作関係
外部監査委員会
アレフ問題の告発と対策
地域社会の皆様へ